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「コックピットは自分の居場所」 役員退任後に機長復帰

2019年11月24日掲載

ソラシドエア元役員で、3年ぶりに機長に復帰した増田秀隆さん=宮崎市・同社

 宮崎市に本社を置く航空会社、ソラシドエア元役員の増田秀隆さん(66)=大阪府豊中市=は同社の国内線で操縦かんを握る。「まだ飛びたい」という空への純粋な思いから昨年12月、3年ぶりに機長に復帰した。航空大学校(宮崎市)OBでもある増田さんは「第二の古里である宮崎に少しでも貢献したい」と、残りのパイロット人生に情熱を傾ける。

 広島県の旧西条町出身。高校卒業後、航空大学校に入り、1976(昭和51)年に全日空(ANA)に入社した。「気象条件や飛行機の調子、お客さん、同じフライトは二つとない。大変だからやりがいがある」と、魅力を語る。「お客さんは安心して乗ってくる。その気持ちに応えたい」と常に冷静であることを心掛けてきた。

 国内、国際線で活躍し、2013年5月末に60歳で定年退職を迎えた。その翌日、ソラシドエアに入り、機長として乗務。15年に取締役運航本部長となって現場を離れても、空への思いは薄れることはなかった。

 「コックピットの見晴らしは格別。何十年と過ごしてきた自分の居場所」。国の規定では68歳になる前日まで飛ぶことができる。役員退任を機に会社に復帰を相談したところ、「お願いします」と歓迎され、増田さんを「ひでさん」と慕う副操縦士たちも「一緒に飛びましょう」と後押ししてくれた。

 4カ月間の訓練を経て復帰した。役員退任後、機長に戻るのは同社では初めて。現在は月に10日間勤務し、国内線を1日2~4便飛ぶ。「一便一便の達成感は何物にも代え難い。復帰して良かった」

 宮崎は学生時代を過ごし、パイロットとして一歩を踏み出した地。「縁のある宮崎の会社で働けてうれしい」と喜びをかみしめる。「最後のフライトまで安全運航で」が目標だ。