
3年間発行を続けてきた「宇和日日新聞」をクラスメートと囲む宇和義浩さん(左から2人目)=延岡市・島野浦中
延岡市の離島・島浦島にある島野浦中3年の宇和義浩さん(15)は、自身が編集する「宇和日日新聞」の発行を週4日、3年間続けてきた。自宅でタブレット端末を使い、A4版3枚に県内外のニュースをまとめ、見出しを付けて掲載。同校に置かれ生徒や教諭に読まれているほか、無料通信アプリ「LINE(ライン)」でも配信し、「うわにち」の愛称で親しまれている。卒業後は島を離れるが、「週刊などできるかたちで続けたい。読者が社会や新聞への関心を持つ入り口になれば」と情熱を燃やし続けている。
創刊は小学6年生だった2018年1月。正月に親戚が帰省した時の写真をA4用紙1枚にまとめ、ラインで家族や親族に送った。もともと宮崎日日新聞を読むのが好きだった宇和さん。「大好きな新聞なら飽き性の自分でも続けられそう」と製作を開始。中学に入学すると担任教諭の計らいで教室に「うわにち」の掲示コーナーが登場した。
掲載記事は4本で、「宮日で1面クラスのもの」(宇和さん)や大好きなプロ野球の記事も。午後9時頃までインターネットでニュースを検索し、30分から1時間ほどかけて要約したり見出しを考えたり。夜中に大きなニュースがあった場合は登校前に記事を差し替える。これまで発行したのは700号を超え、ラインでは親戚や友人の保護者に配信している。
満潮・干潮の時刻、高速艇の運休といった島民に欠かせない情報もフォロー。運動会やシーカヤック教室など学校行事の際は生徒へのインタビューや写真グラフを掲載する特集を組み、週3回の休刊日やテスト期間中以外は製作を続けた。3年間担任した矢野雄大教諭(41)は「どうしたら分かりやすく伝えられるかを考えながら要約したり、言葉を言い換えたりして工夫している」と評価する。
現在は校舎2階の新聞コーナーに置かれ、昼休みにクラスメートや後輩たちがめくってくれる。宇和さんは「みんなに読んでもらうのが楽しみだったから続けてこれた」と感謝。4月からは同市内の高校に進学し新生活が始まるが、新聞タイトルの上に掲げた「皆に愛される地域密着の新聞へ」との志をこれからも追い求める。