故梅木留助さんの日本刀を返還するため日南市を訪れたケビン・クローストさん(右)と留助さんの長男武光さん
海を越え、77年ぶりに遺族の元へ-。高原町出身で元陸軍大佐の故梅木留助さんが終戦まで所有していた日本刀を返還しようと、元米兵ジョセフ・カーサーさん(99)の孫で米国在住のケビン・クローストさん(38)が2日、日南市を訪問。長男武光さん(97)らと交流を深めた。
遺族らによると、留助さんは韓国・済州島で終戦を迎え、刀は連合軍に接収されたとみられる。留助さんは戦後、同町で養鶏場などを営み、1974(昭和49)年に死去した。
クローストさんによるとカーサーさんは45(同20)年、兵士として派遣されていた沖縄で武器の残骸の中から刀を発見し、本国へ持ち帰った。刀には木札が添えられており、氏名や出身地、手にした人はいつか刀を返してほしいとの伝言が英語で記されていた。
幼い頃から刀の話を聞いていたクローストさんは、祖父の願いをくんで持ち主探しに奔走。知人を介して高原町役場と連絡を取り、武光さんらが日南在住であることを突き止めた。
クローストさんは銃砲刀剣類登録証の取得といった手続きを経て、武光さん方を訪れた。武光さんに刀を手渡した後、祖父や父母らとテレビ電話で会話。カーサーさんは「刀を返したいと強く望んでいた」と積年の思いを吐露していた。
クローストさんは「訪問で両家族のつながりを実感できた」と感慨深げ。武光さんは「長い間保管するのは大変だったと思う。家宝として大切にしたい」と話していた。