匿名男性からのクリスマスケーキを支援家庭に手渡す小林市社会福祉協議会の職員=21日午後、小林市細野
楽しいクリスマスを-。小林市内の匿名男性は21日、食料品の配布支援を受けるなど生活が厳しい子育て世帯にケーキを贈った。23日までに約150世帯に届ける予定。男性は終戦直後の貧しい時代に幼少期を過ごした体験から寄付を思い立ったといい、「うれしい経験をすることで、将来は周囲を思いやる大人になってほしい」と願う。一足早いクリスマスプレゼントを受け取った子どもたちは笑顔で喜んだ。
贈ったのは「FMサンタのおじさん」と名乗る男性。「生活に困っている子育て世帯にクリスマスケーキを贈ってほしい」と、市の「こども応援基金」に30万円を寄付した。市は、市社会福祉協議会と「こばやしこども宅食@pocket」が支援する世帯にケーキを配ることにした。
市を通じて取材に応じた男性によると、寄付を考えたのは自身の体験から。登校時ははだしかわらじが当たり前だった終戦直後、あるとき学校からズックの配給を受けたことが「すごくうれしい出来事で強く印象に残っている」。報道で子どもの貧困問題を見聞きし、自分と同じような喜びを感じてほしいと、ケーキのプレゼントを思い立ったという。
21日は同協議会に次々に保護者らが訪れ、コメや野菜などと一緒にケーキを受け取った。母子家庭という女子高生は「食べるのが楽しみ」と笑顔。40代の母親は「今年の誕生日はケーキを買ってあげられなかったので、子どもは『直接もらいに行きたい』と言うほど楽しみにしていた。とてもありがたい」と語った。
男性は「大人になった時にふとケーキのことを思い出し、自分も社会のために何かしようかと思ってもらえたら。他人を思いやる気持ちが育ってほしい」と話している。