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手作り結婚式でサプライズ 移住の佐師さん夫婦へ 川南・山本地区住民プレゼント

2024年7月14日掲載

川南町山本地区の「おばちゃんたち」によるサプライズ結婚式に笑顔を浮かべ入場する(手前左から)佐師輝洋、香恋さん夫婦=13日午前、同地区コミュニティセンター

 新型コロナのために結婚式を挙げられなかった川南町への移住者夫婦のサプライズ結婚式が13日、同町山本地区コミュニティセンターで開かれた。地域になじみ、わが子や孫のように愛情を注いで見守る2人を喜ばせようと、地区の「おばちゃんたち」が秘密で衣装や会場を準備。心のこもった手作りの式はぬくもりと笑顔があふれた。

 新郎新婦は佐師輝洋(34)、香恋(35)さん。2人とも宮崎市出身で2019年に結婚、21年に東京都から川南町に移住した。町やJAなどによる農業研修を経て、ピーマン農家として新規就農。今年7月で独立から丸1年がたった。

 香恋さんは60~80代の女性らが毎月開く同地区自治公民館活動の料理交流会「うまいものづくり」に進んで参加。夫婦で栽培したピーマンを差し入れ、農作業の合間に短時間でも顔を出すなどし、地域の行事にも精力的に取り組んできた。

 一方、夫婦はコロナ感染拡大の影響で結婚式・披露宴を20、21年と2度もキャンセル。晴れ姿の披露がかなわないまま就農したと知った同公民館女性部の部員らが中心となり、6月から秘密で式を計画。交流会の場を借りてサプライズで開催することにした。

 13日は、香恋さんや部員ら計約25人がいつも通り和気あいあいと調理。ピーマン料理を食べてもらう名目で輝洋さんも誘い出すと、地元産のバラ、折り紙飾りや風船で彩られた会場で式が幕を開けた。

 衣装も部員らが用意し、ウエディングドレス姿の香恋さん、タキシード姿の輝洋さんが少し照れつつ笑顔で入場。誓いの言葉を述べ、手作りケーキに入刀し、指輪を交換すると大きな拍手が送られた。夫婦と仲の良い永友逸子さん(72)が「2人の笑顔に元気をもらっている。山本の父ちゃん母ちゃんをいつでも頼ってね」と祝福した。

 輝洋さんは「農業でしっかり食べていくことが常日頃から応援してくださることへの恩返し」と気持ち新た。香恋さんは「夢がかなった。お金を払ってもお願いしてもできない、手作りのすてきな結婚式。末永く山本地区でお世話になり、いつか私が『山本の母ちゃん』になって若い人に良くしてあげたい」。涙ながらに感謝すると、会場は温かい拍手と喜びに包まれた。