国内で流行する新型コロナウイルスで現在主流となっているのは、従来株より感染力が強い、英国由来の変異株(アルファ株)だ。ワクチンが好成績を示した臨床試験は、変異株拡大前に行われたため、同様に有効なのかが気になるが、ファイザー、モデルナとも、ある程度の効果を期待できると見てよさそうだ。
国立感染症研究所によると、ファイザーはアルファ株に対する発症予防効果97%との報告がある。ワクチンでできる抗体の働きは、ファイザー、モデルナとも従来株と比べ「微減」程度との評価。日本感染症学会は「有効性に大きな影響はない」とまとめている。
アルファ株よりさらに感染力が強く、国内でも広がり始めたインド由来のデルタ株への効果については十分なデータがそろっていないが、英国の保健当局はファイザーについて、接種2回後の発症予防効果は88%だが、1回のみだと33%にとどまるとの分析結果を明らかにした。デルタ株の影響を抑え込むには2回接種を確実に進めることが鍵となりそうだ。
【写真】インド由来の新型コロナウイルス変異株「デルタ株」の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)