新型コロナウイルスの新規感染者は11月に急増し、流行「第3波」との受け止めが広がる。一方で亡くなる人は、感染者の増加傾向が見え始めた10月以降も1日当たり数人~十数人。流行第1波の4~5月は1日に20~30人の死者が報告されることがあったのに比べると少ない。違いはどこにあるのだろうか。
一つは重症化リスクが大きい高齢の感染者がそれほど増えていないことがある。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーの脇田隆字・国立感染症研究所長によると、高齢者施設や医療機関では感染者が出ても早期に周囲の検査を進め、感染を拡大させない対応が定着したという。
治療法も標準化された。抗ウイルス薬やステロイドなど病状によってどの薬を使うかが整理され、重症化防止や救命に貢献している。
それでも入院患者は全国的に増加傾向にあり、感染拡大が続けば医療体制の逼迫(ひっぱく)は確実。まずは基本的な予防策で感染者数を減らすのが重要だと専門家は強調する。