新型コロナウイルスによる肺炎が重症化しつつある患者の呼吸を補助するために「ネーザルハイフロー」と呼ばれる治療法を使う医療機関が増えてきた。加温、加湿した大量の酸素を鼻からチューブで送り込む。患者への負担が大きい人工呼吸器の使用を、減らしたり遅らせたりできる手段として注目されている。
対象は肺炎で低酸素状態になり、酸素マスクなどでは改善が困難な入院患者。通常は人工呼吸器の使用が検討されるが、喉の奥まで管が入り麻酔で意識がなくなる人工呼吸器に比べ、ネーザルハイフローは意識を保ったまま療養することができ、会話や食事も可能だ。
ただ、患者の口や鼻から細かい飛沫(ひまつ)が出て院内感染につながる恐れがあり、陰圧室での管理など十分な感染対策が取れる病院でしか使えない。
神戸市立医療センター中央市民病院の富井啓介副院長は「人工呼吸器と比べ少ないスタッフで患者をケアできるので、導入により診られる患者数が増えた」と話す。