新型コロナウイルスによる肺炎が広がり、マスクが手に入りにくくなっている。メーカー各社はフル生産を続けているが、品薄状態が解消される見通しは立っていない。
最大の要因は、感染予防のため買い求める人が殺到したことによる国内需要の急増だ。大手メーカーによると、1月下旬には10億枚以上あった国内向けの在庫が2月に入ってほぼ底を突いた。店頭に並べば「即完売」が続いており、花粉シーズンの到来で品薄に拍車が掛かる可能性がある。
国内で出回るマスクの半数以上は中国製で、全体の約7割を輸入品で賄ってきた。肺炎拡大以降、中国での生産分は現地向け出荷が優先されているほか、タイのように当局が輸出許可を停止している国もあり、日本に輸入できる分は激減している。
政府はマスク増産の設備投資に補助金を出す方針だが、多くのメーカーは先の読めない中での投資に二の足を踏んでいる。各社は日本国内の工場を24時間態勢で稼働させているが、需要に追い付いていない状況だ。