感染者全体に占める死者の割合である「致死率」は、その感染症の怖さを表す重要な指標だ。
新型コロナウイルスは症状がない感染者も多いことが分かっており、致死率の算出に必要な分母を正確に把握するのは難しい。真の致死率はまだはっきりしていないが、世界保健機関(WHO)によると、過去の感染歴を示す抗体の研究などにより、海外では0・5~1%といった推計値が発表されている。
国立感染症研究所がこのほど、検査陽性となった症例数を基に国内の致死率を推計したところ、流行第1波が続いていた5月は7・2%だったのに対し、第2波の8月は0・9%と大きく低下した。死亡リスクが高い70歳以上も25・5%から8・1%に減っていた。
鈴木基・感染症疫学センター長は「ウイルスが弱毒化したのではなく検査数が増え、無症状や軽症の感染者が多く含まれたことが一因」と分析。今後もこの傾向が続くかどうか、注意深く見ていく必要があるとしている。