集団の一定数以上が特定の感染症への免疫を持つと新たな流行を防ぐことができる。これを「集団免疫」と呼び、ワクチン接種で達成を目指すのが一般的。世界保健機関(WHO)によると、はしかは95%以上の接種で、ポリオ(小児まひ)は80%以上で達成できる。
新型コロナウイルスのワクチンはまだ実用化していない。そこで「感染しても軽く済む若者に積極的に感染を広げれば社会全体の免疫力が上がるのでは」と言う人がいる。
しかしWHOや多くの研究者はこの考え方に強く反対する。自然感染では発症して重症になったり死亡したりする人も出るからだ。WHOの専門家は「死亡するのは仮に感染者の1%としても世界全体では膨大な数になる」と指摘する。
WHOによるとコロナの集団免疫達成には、最低でも世界人口の60~70%の感染が必要とみられるが、検査されていない人も含めた推定感染者は10月時点でせいぜい10%。専門家は「当面は地道な感染予防策を続けるしかない」と話している。