新型コロナウイルスの感染が広がる現場で緊急対応に当たった医療関係者の心の健康について、西大輔・東京大准教授らの研究グループが調査したところ、現場で疲労を強く感じた人ほど心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が強く出やすいとの結果が出た。医療関係者にもPTSDの症状が出ることは知られており、活動中も十分に休息できる環境づくりが必要だという。
調査は、集団感染が起きたクルーズ船などで業務に従事した災害派遣医療チームなどのメンバーが対象。活動時の休養状況や感染への不安などを尋ねたところ、疲労がたまっていたり精神的苦痛が強かったりすると、後に現れるPTSDの症状が強いことが分かった。
派遣先の慣れない場所で防護服での活動を強いられ、トイレにも自由に行きにくい。西さんは「設備が整わない病院外での対応は負担が一層重くなり得る」と指摘。休息しやすい勤務の工夫に加え、派遣後に体験を聞くなど所属機関によるフォローも望ましいという。