新型コロナウイルスの飛沫(ひまつ)を防ぐ効果が、各種の研究で明らかになってきたマスク。理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」を使った解析でこのほど、判明済みの飛沫拡散防止効果に加え、着けている人を一定程度守る効果もありそうだとの結果が出た。
研究したのは理研の坪倉誠チームリーダーら。6秒間の呼吸で大小の飛沫が鼻や喉にどのくらい入るかを、不織布マスク装着時とマスクなしの場合に分けて計算した。
その結果、マスクをしていると、していない場合に比べて入ってくる飛沫の数を3分の1に減らせることが分かった。坪倉さんは「マスクから鼻が出ている人がいるが、自分を守るためには鼻もきちんと覆ったほうがいい」と勧める。
ただし防げたのは大きな飛沫だけ。50分の1ミリ以下の小さなものは顔との隙間などから入り、マスクなしの場合と同じくらい気管の奥に到達した。坪倉さんは「感染防止には換気との併用が大切だ」と付け加えた。
【写真】マスク装着時(右)とマスクなしの飛沫吸入を比較した富岳のシミュレーション。マスクがあると鼻や喉に入る飛沫は減る(理研、豊橋技科大、神戸大提供)