新型コロナウイルス感染症から回復した人の中には、肺機能の低下をはじめとする体調不良が長く続く人がいることが分かってきた。頻度や持続期間などは明らかになっていない。そこで厚生労働省は、回復者2千人を対象に、実態を調べ解決策を探る研究を始めることを決めた。来年3月まで続けるという。
こうした「後遺症」のような症状について、イタリアから最近、注目すべき論文が発表された。
退院者向け外来を設置した1施設を訪れた19~84歳の計143人についての経過報告で、発症から平均2カ月後の時点で、87%が何らかの不調を抱え、55%は三つ以上の症状があった。
訴えが多いのは倦怠(けんたい)感(53%)、息苦しさ(43%)、関節痛(27%)、胸の痛み(22%)。せきや嗅覚障害などが続く。
外来の受診者は症状がある人に偏っている可能性が高いため、数値の解釈は慎重にする必要があるが、イタリアの研究チームは「退院後の症状にも注意を払うべきだ」と指摘している。